病院薬剤師から調剤薬局へ転職した体験談|年収・休み・失ったものまで正直に

目次
  1. 結論:年収と休みは増え、医師とのつながりは減った
  2. 病院薬剤師時代:急性期で3年、やりがいはあった
  3. 転職を決めたきっかけ:2年目の夏、結婚を考えた
  4. 転職活動の流れ:登録から内定まで約1ヶ月
  5. 想定外:退職までに半年かかった
  6. 薬局に移って変わったこと
  7. 病院から薬局への転職に向いている人・向いていない人
  8. 転職前にやっておけばよかったこと

「病院の仕事は好きだけど、このまま続けられるだろうか」。そう考えている病院薬剤師の方に向けて、私自身の転職の話を書きます。

私は急性期病院で3年働いたあと、調剤薬局に転職した現役の薬剤師です。転職して年収と休みは増えました。一方で、病院時代にあった医師とのつながりは薄くなりました。良かったことも、想定外だったことも、そのまま書きます。


結論:年収と休みは増え、医師とのつながりは減った

先に結論をまとめます。転職前と後で、働き方は次のように変わりました。

項目 病院薬剤師(転職前) 調剤薬局(転職後)
主な業務 抗がん剤のミキシング、院内製剤、ICT・NST、薬剤マスタの調整など 調剤、監査、在宅業務、処方箋入力などの事務
勤務時間 記録に残らない時間外勤務が多かった 9:00〜17:30
夜勤 月2〜4回 なし
休み 契約上は週休2日(夜勤が入ると、その通りにいかないことも) 週2.5日
年収(額面) 360〜380万円くらい 約560万円(転職直後)

年収は私の場合、200万円近く上がりました。ただし、これはあくまで私個人の一例です。年収は地域や薬局の種類、経験年数で大きく変わります。「転職すれば必ず上がる」という話ではない点は、先にお伝えしておきます。

失ったものもあります。医師など他職種とのつながりが薄れたことと、業務が単純になったことです。この点は後半で詳しく書きます。


病院薬剤師時代:急性期で3年、やりがいはあった

私が働いていたのは、急性期の大きな病院です。3年間で、次のような業務に携わりました。

  • 入院・外来の抗がん剤のミキシング
  • 院内製剤の調製
  • ICT(感染対策チーム)・NST(栄養サポートチーム)への参加
  • 院内の薬剤マスタの調整

当直はなく、夜勤は月に2〜4回ほどでした。

正直に言うと、病院の仕事そのものはとても楽しく、やりがいがありました。

つらかったのは、仕事の中身ではなく、仕事の周りのことです。

  • 勤務時間外にも、上の立場の人とのやり取りが発生する
  • 記録に残らない時間外勤務が多い
  • 拘束時間の長さに対して、給与が見合っていないと感じる

どれも、病院で働く薬剤師からよく聞く悩みだと思います。仕事にやりがいがあるからこそ、「この働き方をずっと続けられるか」と考えるようになりました。


転職を決めたきっかけ:2年目の夏、結婚を考えた

転職を本気で考えたのは、病院2年目の夏です。きっかけは、結婚を考えたことでした。

家庭を持つことを考えると、今の働き方と給与のままでいいのかが気になり始めました。特に不安だったのは、次の2つです。

  • 病院時代より、自分の時間を確保できるか
  • 手取りの給与が、実際に増えるのか

転職先もすぐには決められませんでした。別の病院に移るのか、調剤薬局か、ドラッグストアか。病院が好きだった分、かなり迷いました。

相談したのは、後に妻となる人だけです。職場の同期や先輩には話しませんでした。


転職活動の流れ:登録から内定まで約1ヶ月

気になる求人から、転職エージェントを使った

転職エージェントを比べて選んだわけではありません。ネットで求人を探していて、気になった求人を扱っていたのが、薬剤師の転職支援をしているW社でした。そこから登録したのが始まりです。

担当者との面談は、Webで1回、電話で1回ほど。登録から内定までは約1ヶ月でした。担当者の対応はとにかく早く、困ったことは特にありませんでした。

3つの薬局を見学・面接して、在宅に強い薬局を選んだ

調剤薬局を3つ見学し、3つとも面接を受けました。見学で確認していたのは、主に次のことです。

  • その薬局が、どんな業務を中心にしているか(在宅業務に力を入れているか)
  • どの診療科の処方箋を受けているか
  • 薬局の空気感(質問はしていませんが、働いている人の雰囲気を肌で感じるようにしていました)

一方で、給与や特別休日については見学のときに確認しませんでした。そこは契約書のとおりだろうと考えていたからです。

最終的に今の薬局に決めた理由は2つあります。

  1. 在宅医療に強みを持てると考えたから:在宅医療に注力する調剤薬局だったので、これから需要が高まる在宅医療の経験を積めると思いました。
  2. 休みが週2.5日だったから:休みが週2.5日あることも、選んだ理由の一つです。

想定外:退職までに半年かかった

転職活動で一番想定外だったのは、病院を辞めるまでの期間です。内定までは約1ヶ月だったのに、実際に退職するまでは約半年かかりました。

退職は「家族の都合」として切り出しました。時間がかかった一番の理由は、引き止めです。多くの業務を担っていたこともあり、急に辞められると困るという事情が大きかったのだと思います。

後任を担える人はおらず、最終的には私に業務を教えてくれた先輩方が引き継ぐことになりました。

ありがたかったのは、内定先の薬局が待ってくれたことです。「退職が確定するまで待ちます。確定したら好きなタイミングで入職してください」と言ってもらえ、その言葉に甘えて入職日を決めました。

この経験から、これから病院を辞める方に伝えたいことは2つです。

  • 転職を考えたら、早めに動き始める:病院は退職の調整に時間がかかることがあります。内定が出てから辞めるまでの期間も、計画に入れておくと安心です。
  • 内定先と入職日を相談しておく:退職が長引く可能性を、内定先にも早めに伝えておくと、お互いに無理のない入職日を決められます。

薬局に移って変わったこと

仕事内容:病院時代よりかなりシンプルに

今の主な業務は、調剤、監査、在宅業務、処方箋入力などの事務作業です。病院時代のような抗がん剤のミキシングや、ICT・NSTといったチームでの活動はなくなりました。

働き方:時間と休みが決まった

勤務は9時から17時半まで。休みは週2.5日です。夜勤はありません。生活の予定が立てやすくなったのは、大きな変化でした。

良かったこと

  • 収入が上がった
  • 休みが取れるようになった

転職前に不安だった「時間」と「手取り」は、どちらも解消されました。

想定外だったこと

  • 医師など他職種とのつながりが、かなり薄くなった
  • 業務が単純になった

病院では、医師とのつながりの中で仕事をする場面がありました。薬局に移ってその関わりがかなり薄くなったことは、転職前には想定していなかった変化です。転職を考えている方には、ここは事前に知っておいてほしい点です。


病院から薬局への転職に向いている人・向いていない人

急性期病院から薬局に移った立場から、私なりに感じたことをまとめます。

向いている人

  • 調剤室での業務など、決まった作業をこなすのが好きな人
  • 患者さんと話すのが好きな人(病院時代より、患者さんと接する機会は増えました)
  • 入院患者さんとは違い、基本的に元気な患者さんへの対応が好きな人

向いていない人

  • 先進的な薬剤師業務で、薬剤師としての職能を活かしたい人
  • 医師とチームを組み、さまざまな医療業務に関わりたい人

病院の仕事にやりがいを感じている人ほど、「何を優先したいか」を先に整理しておくと、転職後のギャップが小さくなると思います。


転職前にやっておけばよかったこと

振り返って一番思うのは、薬剤師の働き方や働き口を、もっと深く調べておけばよかったということです。

薬剤師の職場は、病院・調剤薬局・ドラッグストアだけではありません。私は収入と休みを重視して薬局を選びましたが、単純に収入を増やすことが目的なら、製薬会社のMRなども選択肢に入れてよかったと今は思っています。

もし今、転職を迷っているなら、まずは「自分が何を一番優先したいか」と「薬剤師としてどんな働き方があるか」を書き出してみてください。私の場合は時間と収入でしたが、人によって答えは違います。それが決まれば、選ぶべき職場も自然と絞れてくるはずです。

この記事を書いた人

GIN

急性期病院で3年勤務(抗がん剤のミキシング、院内製剤、ICT・NST、薬剤マスタの調整)。その後、在宅医療に注力する調剤薬局へ転職した現役の薬剤師。